経営の風を読む 『風は西から♪』

中小企業経営は理論と実践!あとは少しの運を味方につけるだけ!

数字の読めない社長の功罪

1.数字の読めない社長の特徴
 ①経理財務の担当者が作成した銀行用提出資料をさっと見ただけでわかったふりをする。


 社長にはおかしな点を指摘できない代わりに、わかりやすくこちらから解説してあげる気遣いが必要である。


 ②会社の組織図を2ヶ月に1回作り変える。 


 数字のことがわからないので、部署名を変えたりHP上の組織図等を見栄え良く変更するなど、会社の売上や利益とはまったく関係のないことばかりやろうとする。


 ※社員たちはまたか!という感じでまったく興味もなくスルーしている。


 ③「今後、コレを考えるのは、お前らの仕事だ!」と言って、自分で考えないし絶対に自ら行動しない。(コレとは、売上を増やす方法や戦略のことだが、語彙が少ないので曖昧な言葉を使う!)


 徹底的に自分が何もしなければ、まわりの社員が動かざるを得ないので、自分では絶対に動かない。 それでも許される得な社長もいるのが不思議で面白いところである。


 ④ほとんど経営分析指標も知らないのに、どこで聞きかじった知識かわからないが、「わが社は労働分配率が高い!」と言って賃金給与を上げない理由にする。


2.数字が読めないと何が問題か?
 ①利益の出し方がわからない。


 利益の出し方は誰でも知っているとおり単純で、1つ目は売上げを増やす、2つ目は経費を削減することである。(もしくはその両方を同時)


 毎月、どこの会社でも試算表で部門別売上と売上原価集計表を作成していると思うが、その内容を分析もせずに粗利や営業利益が上がった、下がったと言っているだけの会社が多い。


 旗振り役の役員や社長が試算表の数字を理解できないと、現在起きつつある変化や問題点を的確に把握することができず、適切な戦略を打つことができない。 これが会社衰退の第一歩となる。(経営分析、経営戦略、マーケティングに関する考察は今後のブログでお話ししていきます。)


 特に役員が出席する営業会議や幹部会議では、年度計画で設定した目標を達成したのか?未達だったのか?だけが議論の焦点となってしまい、結局なんのビジョンも持たない社長が「売上をあげろ!」と怒鳴り散らすだけの会議が毎月繰り返されてしまう。


 一方、社員側も怒られることに慣れてしまい、嵐の2時間をやり過ごせば、また気楽な日々に戻れると考えてる輩が多い。


 これを何年も続けて会社が成長していくとは思えないがどうであろうか?


 ②いざという時の資金調達ができなくなる
 社長の大事な仕事は会社が苦しい時でも、どうにかしてお金を会社に引っ張ってくることである。 これを資金繰りというが、みなさんご存じの通り、会社に利益が出ている時は誰でも簡単に金融機関から借入することができるが、赤字が続き売上が減少している状況になってからお金を借りるというのは至難のわざである。 銀行がこの会社の社長は数字を理解しており将来に対する経営ビジョンが明確だと判断してくれたら借入もしやすくなるが、その逆になると当然必要な運転資金が得にくくなってしまう。 


 にもかかわらず貸借対照表やキャッシュフロー計算書をあまり見ない経営者は多い。 損益計算書でさえしっかり見ず、分析も税理士の教科書通りの説明を聞いているだけの社長も多い。 結局、損益計算書と貸借対照表の数字の構成や意味を理解せず、社員と自分の給料がそこそことれて会社のお金がなんとか回っていればいいと考えて経営している経営者は意外と多い。


 おそらく現場や営業経験が少なく、実際の作業と経理上の数字を結び付けて考えられないことが原因だと思われる。 現金残高が日々減っていく様を見るのは本当に心臓に悪いことこの上ないが、そこから逃げてはならないのが社長の役目である。


 ひとつできることは、注文を出してくれる顧客のところに通い、営業の現状(売上と市場)を知り、(原価と利益が発生している)現場に出向き社員との対話を深めることに尽きるのではないか?


 難しいことをやるわけではなく、普通に誰でもできることをやれば変わってくるし、見えてくるものが必ず出てくる。


 そして、結果は必ずついてくる。


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    おにがわら すねお

社長の仕事はB/Sの右側にある!

貸借対照表(B/S)の貸方(右側)は、


1.負債 (他人資本)


2.資本金(自己資本)


3.繰越利益剰余金 (自己資本の一部)


で構成されている。


これらは、単純に言えばどういう方法でお金を会社に入れたかを表している。


これを経理の用語ではなく、普通の言葉を使えば、


1.お金を借りること


2.自分のお金を会社に入れること、あるいは他人に出資してもらうこと


3.自分で利益をひねり出すこと


と言い換えることができる。


社長の役目はここにある。


お金を借りたり、出資してもらう為には何が必要か?


将来、利益を出せる合理的な見込みがあることである。できれば過去から現在にいたるまで利益を出している実績があることが望ましい。


社長の使命と会社の目的は会社を存続させることであり、その会社を回すために、『利益』を出さなければならないのである。


実際、普通に会社に利益が出ている時は、銀行も簡単に融資してくれるし、資金調達は誰でも簡単にできてしまうので、平穏な日々の中ではたいして難しい任務だとは感じない。


しかしながら、赤字が連続してしまったり、売上や利益が銀行に提出していた計画にまったく届かない状況が続くと、借入れは一転して難易度の高い任務に変わってくる。 日ごろから銀行の支店長に説明しているので、ある程度の関係ができていると思っていても、実際には非常に厳しい現実に直面することになる。(自分の会社は大丈夫と考えるのはただの都合のいい思い込みに過ぎない。)


こういう危機の時こそ社長の腕の見せ所になる。 あくまで利益が出るストーリーを作り、さらに数字を使って説明しなければ、社員とその家族の未来をつなぐことはできない。


そのために、会社が平和で時間に余裕がある時にB/Sを読む習慣を身につけ、今自分が何をすべきかについて常に考える癖をつけ、危機が来た時のための準備を早めにしておきたいのだ。


なにも机に向かって難しい本など読む必要はなく、ただB/Sを見る回数を増やして、慣れていくことが成功への第一歩となる。


わからないことがあれば、初歩的なことでも社内の担当者や税理士に質問すれば済む話である。 わかりやすい説明ができるかどうかで担当者や税理士の理解力や実力も推し量れるのでどんどん質問攻めにすればいいと思う。


とりあえず、P/L (損益計算書)だけの経営者は早く卒業しよう!



♪Step by step, one by one, higher and higher, Climbing Jacob's ladder! ♪


一歩また一歩、一段また一段、高みへさらに上へとヤコブの梯子を登る


 Jacob's Ladder,   Huey Lewis & The News 


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            おにがわら すねお

経営企画室って必要?

中小企業に経営企画室って必要なのでしょうか?


中小企業で経営企画室がきちんと機能している会社なんてごく僅かのような気がします。


それは、役員たちが自分自身で考えずに、部下にすべて放りなげていることに起因しています。


そして失敗したら担当者の責任にして逃げてしまいます。


仕事もせず責任感のかけらもない役員たちは確信犯なので、それを余計な正義感をもって指摘してしまうと大変な目に遭ってしまうので要注意です。


経営企画室の定義:


無能で見栄っ張りな社長が大企業の真似をして作ってしまう組織のこと。


また、高学歴の人材を部下に抱えることで相対的に自分の価値が上がると思い込み、銀行などの社外に自慢したい衝動を抑えられない器の小さな社長が作りたがる部署のこと。


部署を作ってみたものの2~3年して金だけ使って何も成果が出ないことに気づき、人材を入れ替えるが、あとから入社してきた高給取りの担当役員が会社の業務について何も知らないくせに余計なことをして、会社全体の士気を下げてしまうケースが多い。


配属される人のパターン:なぜか仕事のできない人を採用・配属してしまうケースが多い


・創業者の息子(現場や営業経験ほとんどなし)


・高学歴の元大手経営コンサル出身者(2~3年おきに転職を繰り返している)


・大手銀行出身者(支店長経験なし)


・大手メーカー出身者


経営企画室が行う主な施策


・組織変更、職務管掌の再定義


・経費精算システム、勤怠管理システムの導入


・SFAやCRMの導入検討


・人事評価制度、就業規則、賃金規程等の変更


・銀行から提案されたM&A案件の検討(本業と関係ない業種の会社を買ってしまうパターンが多い!)


・社内サーバーの使用状況調査と変更(IT関係全般)


やっていることは基本的にはどの会社でも当てはまることであり、物(システム)を購入することばかりで頭を使わず仕事をやった風に見せる人たちが多い。 予算化するための稟議書作成やベンダーからの見積もり比較で時間をうまく潰している。


悲惨なのは社長はじめ役員たちがこれに同調して毎日のように会議を繰り返し、ああでもないこうでもないと話し合うのが仕事だと勘違いしていることである。


会社にとって一番大事なことは何か?を理解していればこんなことに時間もお金も使わないと思うが、大体においてこうしたことに意見する人材はとうの昔に会社を去っていると思われる。


ワンマン社長の会社はなかなか問題の本質を見つけることができず、軌道修正が遅れてしまうので特に注意が必要であろう。


銀行や税理士などの外部関係者は絶対に余計なこと(会社にとって役立つこと)は言わないので、心のどこかで彼らに頼ったり期待することは絶対にしてはいけない。


最後は自分の判断力を磨いていくしかない。


皆様の会社が儲かりますように!!


     晴明神社 (京都市)


     おにがわら すねお