経営の風を読む 『風は西から♪』

中小企業経営は理論と実践!あとは少しの運を味方につけるだけ!

M&Aで儲けているのは誰だ?

最近、M&Aを積極的に進め売上を拡大したものの、あえなく倒産したという企業のニュースがあった。


身近でも、こうしたM&Aを積極的に行なっている会社を何社も知っており、背後で金融機関や公認会計士やM&A仲介会社らがお互いの情報を回し合っているのかも知れない。


そして、自分が知っている会社の共通点は、いずれも負債が大きく、何故か決して本業で利益を潤沢に出しているわけではないことである。


しかも、吸収している会社は本業とはまったく関係のない業種の企業で、しかも年商規模の小さな会社ばかりという点も似ている。


ある会社は、年商2億程度の建設会社ばかり3社ほど買っていたが、本業は建設業とは全く関係がないし、その建設会社同士も職種が違うのでシナジーも期待できない。


何が直接的原因かは知らないが、その買収した建設会社に元々いた社員たちがどんどん退職しているらしく、買った側の会社にも建設業界のわかる人間がいないので、大変なことになっていると聞いた。


本当に、買収先の業界のことも知らずに、会社を買うなんてあり得ないと思う。


もう一つの買収側にファンドがあるが、実際にファンドの役員から投資を決定した会社のSWOT分析を見せてもらったことがあるが、あまりにお粗末な分析で絶句したことがある。


つまり、ファンドも実は業界の展望も見えておらず、そこに横たわる本質的な問題もわかっていないからこそ、会社を買収できるのだと思う。


これでも、3年後に株式価値を上げて、他のファンドに売り払う予定らしいが、結局社員をリストラしたり、役員を減らしたりして利益を出すくらいしかできないはずである。


会社もただの金融商品になっている。


物を作ったり、サービスを提供する仕事で儲けることが本来の会社のあり方だと思うが、見かけ上の株式価値を上げ、株を売却して利益を得ることは、企業の本質とは違うと自分は考える。


こういう商売を見てると、桂米朝の口入れ屋という題名の古典落語が頭に浮かんでくる。


他人の物を右左に動かすだけで手数料を取る商売がどうしても性に合わなくて、はるか昔に自分は証券会社を退職している。


M&Aで儲けているのは、大金を使って買収した会社ではなく、おそらく仲介している会社の方である。


   皆様の会社が儲かりますように!

     晴明神社 (京都市)


     おにがわら すねお