経営の風を読む 『風は西から♪』

中小企業経営は理論と実践!あとは少しの運を味方につけるだけ!

資格が無くてもなれる社長と政治家

社長や政治家になるためには、なにか特定の資格や学歴も必要もないし、ましてやSPI(適性検査)も受ける必要ない。 つまり、資本主義と民主主義の世の中では誰でもなれるのが社長と政治家である。


資格や学歴は一定程度の能力を保証するものであるが、社長と言う肩書は、人一倍努力できる能力とか、突出した営業能力とか、圧倒的な人望とかを一切保証するものではない。 また、その社長の器の大きさも会社の規模とはまったく比例しない。


社長だからといって立派な人や優秀な人ばかりではないという現実が、会社と経営という舞台を通して我々が生きている人間社会の矛盾や美徳の両面について問いかけてくる。


現在勤務している会社の社長は、この会社に特別な縁故もなくごく普通の新入社員として入社して社長にまで登りつめた人であるが、上司に「おっしゃる通りでございます。」と40年間おべんちゃらし続けて社長になれた人である。


その社長が、先日、会社の売上目標を全社員に通達してきた。


今期2023年12月期の予想は40億円だが、2年後の2025年には50億円を目指すという。


取り扱っているすべての商品やサービスで20%の値上げ交渉が実現すれば、50億円に近い水準に行くのかもしれないが、値上げできた商品は1%もない。 逆に、輸入品も含め材料費等の原価の大幅上昇分がまったく価格に転嫁できていない惨憺たる状況である。


今後、値上げの交渉をして起こりうることとして、顧客が他社に逃げて売上が逆に減少してしまう事の方が可能性が高い。 だからと言って売上を増やしていく戦略も戦術も持ち合わせていない。 おそらく売上が2年後も同じ水準をキープできればいいところだと思う。


今の社長は、営業本部長の経験はあるが、実績は何もあげていない。 今でも顧客の所には行きたがらないし、社長自ら営業をまったくやろうとしない。 だから、顧客のことは何も知らないし、何がどうして売れているのかを全く理解していない。 ましてや、現場にも行かないので営業マンが本当にどれだけ頑張っているのかということもまったく興味がない。


なので、能天気に2年で売上を10億円増やしましょう!なんて簡単に言えるのだと思う。


自分は営業ではないので、そこまで怒る理由はないのだが、あまりに自分たちの業界や会社が置かれている現状を理解していないのではないかと不安に思ってしまうのである。


そもそもコロナ渦で飲食業、観光業、運輸業、農水産業を中心に廃業や減収減益などの大きなダメージを3年間にわたり受けてきて、コロナが終わってすぐに景気が戻るとは思えない。


また、コロナ特別融資とは言うものの無駄に借金をせざるを得なかった企業の返済が始まってきており、売上がコロナ前の状態までに回復していないため様々な業種で延滞や倒産が増えてきている。


また、海外においても米国や英国、EUそして中国の経済状況もかなり悪化してきており、倒産件数の増加、失業率及び失業者数の増加、クレジットや住宅等ローン債務の延滞、商業不動産(証券)価格の暴落等々のニュースが連日報道されており、とてもじゃないが国内も海外も景気が上向く気配は微塵も感じられない。


社長は売上の増収計画を発表したり、積極的に商品在庫を積み増したりしているが、経済のどこを見て判断しているのか皆目見当がつかない。 インバウンドで賑わっている浅草や京都の映像しか見ていないのかと思ってしまう。


ただ、人脈も戦略もない役員と仕事もやったふりだけの社員しかいなくても、会社はそう簡単には潰れない現実も一方ではある。 これが、よけいに彼らの判断を誤らせてしまうのである。


しかし、景気後退の波はもうすぐそこまで押し寄せている。


それが大きな津波になるのか?一時的な大波程度で済むのか?はわからないが、彼らにはこれからどんな資格試験よりもはるかに厳しい試験が待ち構えていることだけは間違いない。


♪澱んだ景色に答えを見つけ出すのはもう止めだ!


♪濁った水も新しい希望(ひかり)ですぐに透み渡っていく


♪積み上げたものぶっ壊して 身につけたもの取っ払って


♪幾重にも重なり合う描いた夢への放物線


♪紛れもなく僕らずっと全力で少年なんだ


♪セカイを開くのは僕だ


♪視界はもう澄み切ってる


 全力少年、 スキマスイッチ


   皆様の会社が儲かりますように!

     北野天満宮 (京都市)


      おにがわら すねお