経営の風を読む 『風は西から♪』

中小企業経営は理論と実践!あとは少しの運を味方につけるだけ!

be moved : 感動する

英語で moveは、自動詞なら動くで、他動詞ならば動かすという意味だが、これが受動態の時は、動かされたという意味になる。 いつも英語らしいわかりやすい表現だなと思うのだが、『心が動かされる=感動する』という意味で使われる。


映画やスポーツを見て感動した時、また災害や戦争などで困っている人々を見た時、或いは虐待された子供やペットを見た時に、心が震えて居ても立っても居られなくなることがある。


つまり心が動かされた時は、人は動くのである。 そして気持ちが入っているので、普段の数倍のパワーが湧き出てくる。 


なによりもこのパワーが会社に必要なのである。


そして社員の気持ちを上手に動かしてパワーを生み出すことのできる経営者ほど有能な経営者と言えるのである。


われわれは、田中角栄ほどの人間的な魅力もなく、松下幸之助のような天才的な経営者でもないが、社員をちょっとだけでも気分良くさせることぐらいのことは言えるはずである。


会社では目標を管理したり人事評価制度を変えたりして、モチベーションを高めれば、彼らは動いてくれると期待して色々な施策を打つが、なかなか思うような成果はあがってこない。


毎日、顔を合わせて、あいさつし、何気ない言葉を交わし、仕事で困っていたら助けて、逆に助けてもらったりして日々信頼関係を少しずつ構築していく以外の方法はないのである。 そして、その過程の中で相手の気持ちを動かす機会が必ず生まれてくるのである。 


ただ、近年定着してきたテレワークやWeb会議では人間関係を構築していくのは難しい。 相手との間合いを感じて、どれだけその距離を詰められるか自分で判断する感覚がないと、いつまで経っても仕事はできないし、人を使うこともできない。


最近、特に感じることは年齢やキャリアに関係なく、いわゆる常識というものが人それぞれでまったく異なっていることである。 テレワークだけでなく、会社の中で、挨拶したり、机の上を整理整頓したり、定時より早めに出社したりするような基本的なことをしなくなってしまったことで、社内の常識も失われつつあるように思う。 常識の違う人たちの感性に訴えなければならないので、日々のコミュニケーションが余計に大切になってくる。


だからと言って、様々な価値観を持つ社員の考え方を一気に変えたり、すべての社員のモチベーションを一様に上げていこうと考える必要はないと思う。


もし、現状で2割のやる気のある社員で会社を維持することができているのであれば、あと1割増えて3割の社員がやる気になってもらえたらもっと会社が成長できるはずである。 ターゲットは1割でいい。 そして、これを毎年繰り返して続けていけば、いつの間にかやる気のある社員が過半数を超えているかもしれない。


目の前にいる社員に対するほんの少しの心配りが成功の第1歩になる。


すべては相手が誰であっても分け隔てなく尊重する気持ちから始まる。



     挨拶にスランプなし!  
       松村 邦洋


   皆様の会社が儲かりますように!

      東寺 (京都市)
     おにがわら すねお