経営の風を読む 『風は西から♪』

中小企業経営は理論と実践!あとは少しの運を味方につけるだけ!

金利が教えてくれること

株式や債券の価格は、将来得られる収益を金利で割り戻した現在価値という理論によって計算され、金利や割引率は現代ファイナンス理論の最も大事な要素のひとつとなっている。


こうした金利を切り口にすると、また違った角度から経営を見ることができるのではないかと考えている。


まず、金利の動きから何がわかってくるであろうか?


1.経済の先行きを予測する


どの国の中央銀行でも、経済が過熱すれば政策金利を上げ景気を冷やし、景気が停滞すれば金利を下げて景気を刺激する政策をとっている。 


例えば、金利がまだ上がるという見込みが多ければ、経済はこれからも過熱していくと読まないといけないし、日本のように金利を上げられないという状況であれば、これからも不況は続くと判断せざるを得ないということである。 (※現在の各国のインフレ状況がディマンド・プル型ではなく、コスト・プッシュ型インフレと考えられているので、景気の過熱を抑えるというより、物価の沈静化を図るための政策金利の上昇と考えないといけない。)


特に今般の経済情勢を見るにつけ、外部環境であるマクロ経済が自社の商売や自社の顧客の経営にどれくらい影響を与えるのかをつかんだ上で経営する用心さも必要ではないかつくづくと思うのである。(戦争やコロナ禍そして自然災害など予測のつかないことが多すぎて、余計に石橋をたたいて渡る準備が必要かも)


昨年からの金利上昇をきっかけに発生したた米国における銀行破綻が金融不安を引き起こしていることは、日本でも対岸の火事ではなくなっている。 日本でもMBSや仕組債で巨額の含み損を抱えていると見られている地方銀行の今後の中小企業に対する融資姿勢が厳しくなると予想されるので、早めに資金手当ての準備に入るのが賢明だと思う。


2.自社の信用度を知る


転職で会社が変わっても、同じ銀行やリース会社を使うことがよくあったが、会社の内容によって貸出金利が大幅に違っていた。 例えば、A社で機械設備の資金を7年で年利2.5%でX銀行で調達できたものが、B社では、ほぼ同等の金額の案件が、同じX銀行から4.5%の提示を受けたことがある。


会社の規模、社歴、業務内容及び成長性、担保の有無なども多少は考慮されていると思うが、実際には財務内容の数字で機械的に判断されているはずである。 この金利の高さ(低さ)が自社の信用度の度合いを示している。つまり金利が高いほど危ない会社と見られているのである。


自社の調達金利が高いのか?低いのか?わからない経営者も多いと思うが、気心の知れた同業の経営者やロータリーやライオンズで仲良くなった社長仲間に聞いてみてもいいのではないか?


最近、楽天が社債を年利12%で発行して2000億円調達したニュースは、いかに楽天の財務内容が悪いかということであり、12%の金利を払わないとお金を貸してもらえない楽天の苦しさを物語っている。


よって、安く資金を調達したいのであれば、きれいな中身の決算書が必要ということである。 さらに言い換えれば利益を出すという一点に尽きるので、経営者のやるべきことがはっきりと見えてくるのである。


3.利回りで考える


金利は、資金の貸借で貸し手に支払われる元金に対する割合のことで、利回りは投資額に対する利息や配当および利益を含めた収益の割合のことである。(いずれも年ベース)


この利回りと言う概念は、すべてのビジネスの投資収益の尺度として全世界で使用されている。


元々は債券の用語だったのかもしれないが、最初に書いたように割引現在価値が現代ファイナンス理論の中核となっていることから、株式(或いは企業そのもの)、プロジェクト事業、M&A、不動産、果ては太陽光発電に至るまで利回りがすべての共通の尺度となっている。


ただ、債券のように将来の収入が10年先まで確定しているものであれば、現在価値も正しいと言えるが、会社や不動産の将来の収益などはただの仮定に過ぎず、如何ようにでもなるというのが実感である。


会社経営で高い利回りを出すためにとてつもない努力が必要であるが、銀行やファンドは現在価値という尺度しか持っていないので、経営の大変さについてあまり理解できていないのではないかと思うことがよくある。 


その投資のプロである投資銀行やファンドが投資に失敗している直近の状況は皮肉としか言いようがない。


この先、日本を含め世界経済に嵐が吹き荒れるのか? 神風が吹くのか? 金利の動きが何かを教えてくれるかもしれない。 


ほんの少し先の未来が見えるか?見えないか?で失敗と成功の大きな分かれ目になる。


♪If I could tell the world just one thing   


世界にひとつだけ言うことができるなら


♪It would be that we're all OK       


私たちは大丈夫と


♪And not to worry 'cause worry is wastefull 


心配なんてしていない、だって心配すること自体ムダだから 


 Hands,  Jewel 


   皆様の会社が儲かりますように!

     八坂神社 (京都市)
     おにがわら すねお